2018年1月29日

麻倉怜士のCES2018レポート14】フルHD有機EL搭載のシアター向けヘッドマウントディスプレイ「GOOVIS G2」に期待

かつてのソニー製HMDを彷彿とさせる

 私は、ソニーのヘッドマウントディスプレイ「HMZ」シリーズが好きだった。今は「ヘッドマウントディスプレイ」というとVR用のそれになってしまったが、HMZはVRではなく、劇場での視聴体験を再現するための製品だった。

 装着すると数十m先に、数百インチの大画面が展開する。単に画面が大きいということだけでなく、スクリーンと自分との間に距離が感じられる(実際にはレンズ効果で、脳がそう感じる)のが現実的であり、快適に視聴できた。

 映像デバイスは720pながら有機ELパネルを使い、コントラストが良かった。しかし、2011年の初代「HMZ-T1」、2012年の「HMZ-T2」、2013年の「HMZ-T3」と続いたが2015年に撤退。その後、シアター用途のヘッドマウントディスプレイは皆無になってしまったのだ。

 ところがである。CES 2018サンズ館のベンチャーが集まるユーレカパークで、HMZの後を継ぐモデルを見つけた。中国・深センの光学機器メーカー、Shenzhen NED Opticsが開発した「GOOVIS Cinego」だ。HMZは720pのソニー製有機パネルを使っていたが、CinegoはフルHDの有機EL(0.71インチ×2枚。ソニー製と思われる)を搭載している。

 HMZの見え方は「仮想の視聴距離20mで、750インチの仮想画面」が得られていた。GOOVIS Cinegoは同じく仮想距離20mで、さらに大画面の仮想800インチだ。画素数が多く、精細感も高い。有機ELだからコントラストや色再現が素晴らしい。本体は345gと比較的軽く装着感もいい。3D映像も可能だ。

 3D直視型テレビでは眼鏡で左右分離するから不自然さが残るが、GOOVIS Cinegoは左右の目それぞれで独立した有機EL映像を見るので、まったく不自然さがない。確実な立体感を味わえる「脳が喜ぶ3D」だ。OSはAndroidで、Blu-rayプレーヤーの接続に加え、YouTubeやNetflix、AmazonビデオなどOTTの映像配信サービスも視聴できる。日本でも販売するという。